
なぜビットコインの取引手数料は下がっているのでしょうか?
また、ビットコインの取引手数料が下がるとは何を意味するのでしょうか?
下落が起きる理由と、それが意味する真実について解説したいと思います。
なぜビットコインの手数料は下落しているのか
ビットコインの取引に掛かる平均的な手数料が、1年と半年前の今日と比べると格段に安くなっていることが判明しています。
仮想通貨自体の市場価格を予測することは、今まで困難であると提唱され続けていましたが、それに伴う通貨の取引手数料の価格変化も予測困難となりつつあります。
しかし、世間一般では取引手数料は高騰を続けていると言われているため、実際の価格が差がているという事実は驚きなのではないでしょうか。
実は、ごく最近までビットコインに掛かる取引手数料は過去最大の価格を誇っていました。
しかし、その後著名な投資家やマイナーによって、取引手数料を最小限に抑えた新たなビットコインが誕生しました。
ビットコインに掛かる、いわゆる『手数料』はビットコインのネットワークを正常に働かせる上では欠かせない存在でした。
『手数料』はビットコインのブロックチェーンを使用している限り、例えピザに対する支払い、SMS、VoIPやE-mailでも必要不可欠です。
ビットコインのソフトウェアは取引を正常かつ円滑に進めるために、複数のコンピューターを同時に用いて計算を行う必要があります。
ビットコインにおけるネットワークでは、一定のインターバルで処理できるデータ量が定められており、ネットワーク混雑時ユーザーはより多くの手数料を支払わなければなりません。
ビットコインが去年を境に、その知名度をあげ、ビットコインの利用者が増えたことにより、一時期その取引手数料は$25までBitinfochartsの統計によると、高騰を見せました。
ビットコインを従来の支払い制度に対する、新たなシステムとして成り立たせようとしていたビットコインの利用者たちは、この手数料高騰を大きな問題として見ていました。
しかし、去年の12月を境にビットコインにおける取引手数料は下降を続けています。
では、なぜビットコインの取引手数料は下落を続けているのでしょうか。
その質問に対するシンプルな答えとして、ビットコインの取引量が過去と比べ格段に減少している点が挙げられます。
Blockchain.infoによると、去年の12月の時点でビットコインの1日に行われる取引量は400,000でしたが、今日では200,000の約半分に落ち着いているといいます。
BitGoにおいてCEOを勤めているMike Belshe氏はCoinDeskに対しビットコインの手数料が下降している理由について以下の様に述べました。
ビットコインの手数料が下降しているのは、ビットコインの取引需要が減少していることに起因していると考えています。
では、なぜビットコインの取引需要が減少しているのでしょうか?
SegWit論争とその後
TwitterやReddit上では、ビットコインのネットワークシステムに大きなかかわりを持つブロックサイズに関する議論が行われてきています。
Twitter上で著名なArmin van Bitcoin氏は部分的なSegWitの導入が行われた上に、取引手数料が減少してきた時点でスケーリングに関する問題は既に解決してるも同然だと主張しています。
確かに、SegWitの導入によりブロックチェーンのサイズが拡大され取引手数料を安くすることに成功しましたが、SegWitは未だ広く普及しているとは言えない状況です。
それゆえに、SegWitが実質どの程度の影響を手数料に対し与えているのかは断言できません。
SegWitの新規導入件数はそこまで確認されていないことに加え、SegWit Partyによると、SegWitはたった10から14パーセントしか数か月間の取引の中で使われていないと示しています。
加えて、SegWitは確かに取引手数料を抑えることはできますが、全体の取引量には影響を与えません。
Belshe氏は違う可能性として、高騰を続ける取引手数料に嫌気をさしたユーザーが『Batching』と呼ばれる新技術を導入した可能性があることを示唆しました。
『Batching』とは多額の取引を行う際に、多数の取引をまとめて一つにして行うことができるシステムであるといいます。
これにより、ブロックチェーンに充分なスペースを作り出すことができます。
Coinbaseなどの仮想通貨取引所は過去に同システムの導入を目指し取り組んでいたことを明らかにしています。
また、取引所Shapeshiftはビットコインブロックチェーン上の全体の2パーセントに取引を『Batching』のシステムを用いて行えるようになったとの発表を行いました。
このように取引所がBatchingの導入を行ったと公表すれば、その事実は確認できますがデータとしては明確に示された内為個人で行っていた場合、100%判明させることは困難であるとBelshe氏は述べています。
ただ、同氏は仮想通貨取引所の1つShapeshiftが同技術を導入したことは市場に対して大きな影響を与えるだろうと推測しています。
このような技術を用いることにより、ブロックチェーン上のスケーラビリティ問題は本来のブロックチェーン技術が持つ特色の恩恵をそのまま持ったまま解決する方向へ向かうだろうとビットコインに関わる開発者たちは考えています。
XO MediaにてCEOを務めるCarvalho氏は
ビットコインの中心的な開発者チームがレイヤー2ソリューションの開発を急いでいるのはここに理由があります。
取引にかかるデータサイズの最適化を様々な方法で試しているのも、彼らはそれがビットコインのスケーラビリティ問題の解決へと繋がると信じているからです。
同氏はそれに付け加え
彼らはビットコインに関わる全ての取引を最小にしようと試みています。
なぜなら、どちらにしろブロックチェーン上にデータは保存されるからです。
ビットコインはもう時代遅れなのか
データサイズの最適化、取引の制限を好むビットコインの開発チームに対し批判的な立場を持っている人々は極度な取引手数料の高騰が、現在のビットコインに掛かる手数料の下落に結果として繋がっていると主張しています。
ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)の開発を行っているスタートアップYoursの創業者Ryan X. Charles氏は以下の様に述べています。
ビットコインは少額決済を行う際には役に立たないため、人々はビットコインとは違う代替を求め、他の通貨へ乗り換えを開始しています。それに伴い、ビットコインの取引手数料は下落しています。
Charles氏はビットコインキャッシュに関わるスタートアップを開始する以前から、昨年の時点でビットコインのブロックチェーンを用いるのを辞めていたといいます。
Charles氏の様な行動と選択を、いくつかのユーザーが取っていることは否定できません。
支払いサービスを提供するStripe社は今年1月より取引手数料の高騰のためビットコインの受付を終了しました。
また、ビットコインを用いた支払いサービスを提供するBitPay社は複数のプロトコルを採用することにより差別化を図り始めました。
しかし、仮にビットコインからユーザー離れが始まっているとは言い切れません。
ビットコインキャッシュは確かに取引手数料はビットコインより安く済むように設計されていますが、現状ではビットコインユーザーの10分の1しかユーザー数を獲得できていません。
BitGoのエンジニアJameson Lopp氏は
ビットコインの高い取引手数料が、ビットコインキャッシュへユーザーを流動させているのは明らかだろう
と述べています。
しかしながら、ビットコインの開発者であるMeni Rosenfeld氏は新たな通貨の誕生とSegwitに対する意見に反対の姿勢を取っています。
同氏はツイッターにて以下の様な意見を発信していました。
ビットコインの取引手数料下落の主たる理由はSegWitの導入、またビットコインキャッシュへのユーザー流出のどちらも原因ではありません。
単純に、仮想通貨に対する異常なまでの購買需要が収まってきたのです。
同氏の意見は第二位の市場価値を誇るイーサリアムの取引手数料の過去数か月間の低下によって支えられています。
まだ、同様にライトコイン、リップル、そしてその他のアルトコインにおける取引手数料も過去数か月で低下の傾向を見せています。
Charles氏は仮想通貨市場の下落トレンドが単純に影響している可能性があることも示唆しています。
Charles氏は
私はイーサリアムの取引手数料がビットコインと同じように下降していることは、仮想通貨市場全体が下落トレンドに入っていたので全く驚きませんでした。
実情は、全ての仮想通貨におけるブロックチェーン上で絶世期に比べ送金需要が減っていることによる手数料下落なのかもしれません。
まとめると、現時点では取引手数料が安くなっている明確な理由を1つに絞ることはできませんが、もしかしたら上記にあげた全ての要因が重なり合っての現象である可能性は大いにあります。
取引手数料の本当の役割
取引手数料が安定していないことを見ると、今後も大きな幅で手数料が変化していくことが推測できます。
ただ、仮想通貨の未来を思うのであれば手数料は常に『低く』設けられていることが望ましいです。
ビットコインの将来的な理想像を述べるならば、世界的な需要の中で低価格な手数料を提供するサービスを提供しつつもマイナーにとって納得の行く手数料を生み出せる仕組みが設けられることです。
Calvalho氏は
『取引手数料のマーケットはは市場価格との釣り合わせが行えるので必要不可欠です。理論的には、ブロックに対する需要は無限であるため、それを適切に釣り合わせるための取引手数料の平均数値が必要となってきます。』
と持論を展開しました。
それと同時に、取引手数料は現在も下落を続けており、新しい『Low』の定義を作り出そうとしています。
Carvalho氏とResenfeld氏はライトニングネットワークを用いて実質的なビットコインの取引をメインブロックチェーンから移行する開発を進めています。
ただ仮にライトニングネットワークの開発が成功した場合、現在の取引手数料では2100万分のビットコインの生産量にかかるマイニングコストを補えない可能性が生じてきます。
開発者のGred Slepak氏はこの理由から、『機会損失をしない方がいい』と今日のビットコイン手数料を参考にし述べています。
同氏は
もう二度とこのような機会は訪れないかもしれない。
と現在のビットコインにかかる手数料の安さは二度とない可能性を踏まえていた方がいいと警鐘を鳴らしています。
ビットコイン手数料下落の本当の理由とは?
このように、技術的な側面また市場的な側面で仮想通貨に関わる取引手数料が下落をしているという推測が多く飛んでいます。
もちろん、全ての要素が重なりあっている可能性が一番高いのは事実ですが、理由として多くを占めるのは一言で『市場の停滞』なのではないでしょうか。
仮想通貨市場は2017年12月に最大級の盛り上がりを見せ、それ以降は下落トレンドに突入しています。
仮想通貨に関わる取引手数料も、全く同じタイミングで同じような動きをしていることは明白です。
様々な理由があるにしろ、Gred氏が述べている通りもしかしたら二度とこのような取引手数料の安いチャンスは訪れないのかもしれません。
しかし、上記でも述べられている通りビットコインがビットコインとして成り立つ目には世界的な需要と安定かつ低価格な取引手数料が実現されなければなりません。
その達成のため、今後は技術的側面がビットコインの進化を大きくサポートしていくことが期待されます。
2018年の仮想通貨市場は、市場価格以外にも仮想通貨に関わる取引手数料に着目してみるのも面白いのかもしれません。
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Alyssa Hertig Feb 23, 2018 at 01:30 UTC