
仮想通貨について調べていると「PoW・PoS・PoC・PoI・PBFT」という言葉を目にすることが多いと思います。
ですが、その意味を正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。
これらの用語は「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれるものです。
そこで、この記事では、
コンセンサスアルゴリズムとは何なのか?
コンセンサスアルゴリズムの種類や特徴は?
という疑問に対し詳しく解説していこうと思います。
コンセンサスアルゴリズムは、仮想通貨を理解する上で非常に大事なシステムです。
この記事を最後まで読んで、正しい知識を身につけましょう。
本記事の内容
コンセンサスアルゴリズム(合意形成)とは何?どんな意味?
それでは実際にコンセンサスアルゴリズムについて詳しく解説していきます。
コンセンサスアルゴリズムの概要
コンセンサスアルゴリズムを一言でいうと、
正しい取引かどうかを判断する人を決める方式(アルゴリズム)のこと
を言います。
ビットコインを始めとする仮想通貨の基盤であるブロックチェーン技術は、中央管理人がおらず、非中央集権的は仕組みになっています。
中央管理人がいないので、みんなで管理して取引が正しいかどうかを確認しているんです。
コンセンサスアルゴリズムとは、この取引に不正がないかどうかを判断する人を決める方法のことを言います。
コンセンサスアルゴリズムを翻訳すると、
コンセンサス=合意
アルゴリズム=方法
という意味になります。
つまり、コンセンサスアルゴリズムはみんなで取引が正当か不当かを決める「合意の方法」という意味になります。
コンセンサスアルゴリズムには、「PoW」「PoS」「PoI」「PoC」「PoB」などいろいろな合意形成の方法があります。
PoWやPoSなどは、それぞれ取引が正しく行われているかをチェックする人を選ぶ方法(アルゴリズム)が異なっているんです。
後ほど詳しくそれぞれのコンセンサスアルゴリズムについて解説しますね。
ブロックチェーンの「Unpermissioned」と「Permissioned」とは?
ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムは、大きく分けて「Unpermissioned」と「Permissioned」の2つのタイプがあります。
「Unpermissioned」は、ブロック生成に誰でも参加でき、「パブリック型」とも呼ばれます。
大規模なネットワークに対応できるようになっていて、代表的なコインとしては、BitcoinやEthereumなどがあります。
PoW、PoS、PoIが、「パブリック型」のコンセンサスアルゴリズムとして使われています。
「Permissioned」は、ブロック生成の参加が許可された者のみとなっていて、「コンソーシアム型」「プライベート型」とも呼ばれます。
小規模でも効率よく動く仕組みになっていて、代表的なコインとしてはRippleなどがあります。
PBETが「プライベート型」のコンセンサスアルゴリズムとして使われています。
このように、タイプに合わせたコンセンサスアルゴリズムを使うことで、ブロックチェーンの技術を支え、成り立たせています。
それぞれのコンセンサスアルゴリズムについては、後で詳しく解説していきます。
コンセンサスアルゴリズムはマイニング報酬を誰に払うかを決める
仮想通貨はマイナーがマイニングすることによって、取引をブロックチェーン上に記録することができます。
マイニング(採掘)とは、仮想通貨のネット上でデータの計算処理をしたり、承認したりして、ネットの運営に貢献することです。
マイナー(採掘者)は、そのマイニングの作業を行うボランティアのような人です。
ただボランティアと違う点は、マイナーは無償でマイニングを行っているわけではなく、マイニングの際にマイニング報酬を受け取れる可能性があるので、マイニングを行っています。
コンセンサスアルゴリズムは、このマイニング報酬をどのマイナーに支払うかを決める重要な仕組みでもあります。
有名な5種類のコンセンサスアルゴリズムを比較して違いを解説!
ここからは、種類別にコンセンサスアルゴリズムについて詳しく解説していきます。
今回は「PoW、PoS、PoI、PoC、PoB」という有名な5つの合意形成方法を紹介します。
それぞれのメリットとデメリットを紹介していくので、比較するなどして利用してみてくださいね。
コンセンサスアルゴリズム①:PoW(プルーフオブワーク)
コンセンサスアルゴリズムは様々な種類がありますが、その中でも最も耳にする機会が多いのではないでしょうか。
“Proof of Work”「プルーフオブワーク」の略で、約10分間にわたる膨大な計算処理を行い、その仕事量によって合意形成をする仕組みです。
主にビットコインで採用されています。
PoWのメリット
膨大な計算を必要とするため、改ざんに強いという点があります。
また、「パブリック型」なので、誰でも公平に参加することができます。
二重使用がないか、などもネットワーク参加者全員で確認するため、ブロックの正当性が証明されます。
PoWのデメリット
膨大な量の計算をするので、その分取引が承認されるまで時間がかかるのと、非常に高い電気代がかかってしまいます。
そのため個人的に参加するのはあまりおすすめすることができません。
また、「51%攻撃」というリスクも懸念されます。
これは、マイニングを専門とする大規模な集団が登場し、この集団が力を持ちすぎることで、ブロックが恣意的に作られてしまうことです。
非中央集権化を目指していた技術が、中央集権化してしまうのではないかというリスクがあります。
コンセンサスアルゴリズム②:PoS(プルーフオブステーク)
“Proof of Steak”(プルーフオブステーク)の略で、コインを保有している量によって合意形成が行われます。
ETH(PoWから移行予定)やADA、PACで使われています。
PoSのメリット
「PoS」は、さきほど紹介した「PoW」のデメリットをすべて解決した仕組みとなっています。
まず、PoSの合意形成の方法はコインの保有量なので、膨大な計算は必要なく電気代がかかりません。
また、「51%攻撃」のリスクも大幅に減ります。
なぜなら、PoSにおいて51%攻撃を仕掛けようとするには、過半数のコインを保有する必要があります。
それには巨額のコストがかかってしまうので、PoWと比べると圧倒的にそのリスクは減ります。
これで「非中央集権」のシステムも保たれています。
PoSのデメリット
PoSの合意形成の方法はコインの保有量で決まるので、コインを多く持っている人が有利という、貧富の差が生まれてしまいます。
また、PoSではコインを保有することが重要な仕組みなので、貯蓄する人が増え、取引量が減ってしまうリスクがあります。
コンセンサスアルゴリズム③:PoI(プルーフオブインポータンス)
“Proof of Importance”(プルーフオブインポータンス)の略で、マイナーのランク付けが行われ、そのランクが高い順によって合意形成が行われます。
ランクはコインの保有量だけでなく、取引量も含まれています。
つまり、いかに様々な人と取引してくれたのか(=コインの流動性を高めてくれたのか)も加味されます。
XEMという通貨を利用したNEM(ネム)で使用されています。
PoIのメリット
先ほどの「PoS」のデメリットを改良した仕組みになっています。
PoSではコインの保有量が多い富裕層に有利な仕組みでしたが、PoIでは「流動性」が重要視されているので、貧富の差が極端に広がることはありません。
PoIのデメリット
PoIのシステムでコインを得ることを、“ハーベスティング”(収穫)と呼びます。
これに参加するには、一定量のコインを保有していなければなりません。
なので結局、多少の貧富の差が生まれてしまうことが懸念されています。
コンセンサスアルゴリズム④:PoC(プルーフオブコンセンサス)
“Proof of Consensus”(プルーフオブコンセンサス)の略で、「バリデーター(Validator)」と呼ばれる信頼された承認者の80%が有効と判断した場合に、合意形成が行われます。
リップル(XRP)という通貨で使用されています。
PoCのメリット
取引時間が5~10秒と非常に短いので取引を円滑に行うことができます。
また、承認時間が非常に短いので、PoWのように大量の電気を消費することもありません。
PoCのデメリット
サーバーをリップルが管理しているため、中央集権的なシステムになっているのではないかと懸念されている点があります。
コンセンサスアルゴリズム⑤:PoB(プルーフオブバーン)
“Proof of Burn” (プルーフオブバーン)の略で、ある仮想通貨を持つ人が、誰にもわからない秘密鍵のアドレスに送ることで、そのコインが二度と使えないことを証明した場合に、合意形成が行われます。
これをコインを燃やしているようだということからバーンと表現されています。
合意形成が行われると、燃やした量と同価値の新しい仮想通貨を手に入れることができます。
カウンターパーティーのXCPで使われています。
PoBのメリット
PoWやPoSは、初期からのユーザーほどコインが多くもらえる仕組みになっていますが、PoBの場合はコインを燃やした量に比例して報酬をもらえる公平な仕組みです。
またどれほどのビットコインが燃やされたかを全員が確認できるので、透明性が高いといえます。
そしてコインを燃やし、供給量を減らすことによって、総体的にコインの価値を高めることもできます。
PoBのデメリット
将来性が高い仕組みですが、まだあまり実用的に普及していません。
また、PoBを導入しているカウンターパーティーを利用する際、手続きに10分以上の時間がかかってしまいます。
ここまで5つのコンセンサスアルゴリズムについて紹介してきました。
ここで、一度それぞれの特徴を整理するために、表にまとめてみたので、参考にしてみてください。
その他のコンセンサスアルゴリズムについて
先ほどまで5つのコンセンサスアルゴリズムについて紹介してきました。
ですが、実はそれ以外にも合意形成の方法があるのです。
最後に、「プライベート型」とよばれるPBFTについて紹介していきたいと思います。
その他:PBFT(プラクティカルビザンチンフォールトトレランス)
“Practical Byzantine Fault Tolerance”(プラクティカルビザンチンフォールトトレランス)の略で、コアコードと呼ばれる特定のコードに、最新ブロックを生成する権限を集中させ、約3分の2以上の合意で承認され合意形成が行われます。
Hyperledgerなどで使用されています。
PBFTのメリット
一定のタイミングでブロックが生成されるので、決済完了のタイミングが明確です。
そのため、金融機関など迅速な対応が求められる場の取引に有利であるといえます。
また、PoWのような計算処理を必要としないので、高速で認証が行われます。
PBFTのデメリット
先ほど紹介したように、PBFTは「プライベート型」のブロックチェーンです。
そのため参加者は限定されていて、参加するのに特定の管理者を必要とします。
また参加できるノード数は固定されているため、参加ノードをあまりにも多くすることはできません。
この仮想通貨はどれ?コンセンサスアルゴリズム比較一覧
ここまで、6つのコンセンサスアルゴリズムについて説明してきました。
頭の中を整理するために、コンセンサスアルゴリズムと仮想通貨の対応関係について表にまとめたので、良かったら参考にしてみてください。
コンセンサスアルゴリズム | 仮想通貨 |
PoW | BTC(ビットコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)
LTC(ライトコイン)、MONA(モナコイン)、XMR(モネロ) |
PoS | ETH(イーサリアム)、PPC(ピアコイン)、NEO(ネオ)、ADA(エイダコイン)、PAC(パックコイン) |
PoI | NEM(ネム) |
PoC | XRP(リップル) |
PoB | XCP(カウンターパーティー) |
PBFT | ZIL(ジリカ)←<PoSとの組み合わせで使われる> |
仮想通貨には欠かせないコンセンサスアルゴリズム
ここまで、コンセンサスアルゴリズムである「PoW、PoS、PoI、PoC、PoB、PBFT」の概要や違いについて解説してきました。
もう一度、簡単にコンセンサスアルゴリズムについて振り返ってみましょう。
これから仮想通貨を始めようと思っている方は、これらのメリット、デメリットなどの特徴を踏まえて、自分に一番合ったコインを選ぶようにしていただきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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