
イーサリアムの開発状況を垣間見ることが出来るGithub上では最近、いくつかの開発に対する提案が行われていることが発覚しました。
4月1日にイーサリアムの創設者であるVitalik Buterin氏はイーサリアムの最大発行枚数をおよそ1億2千万枚に定める提案を行いました。
また、数日前にはイーサリアムの開発者であるPiper Merriam氏はASIC社が開発しているイーサリアムマイニングマシーンに対抗すべき、ハードフォークを行うべきであるという主張も行われています。
Vitalik Buterin氏によるイーサリアム最大発行枚数の提案
イーサリアムの共同創設者であるVitalik Buterin氏はEthereum Improvement Proposal (EIP)にて、初期の発行枚数のちょうど2倍に当たる120,204,432枚をイーサリアムの最大発行枚数にするべきだという主張を行いました。
エイプリルフール当日に発表されたということもあり、当初は冗談めかした言い方と思われていましたが、その後発行枚数に関しては真剣に議論を行っているとVitalik Buterin氏は述べています。
Vitalik氏は、発行上限枚数に関する提案は
PoW(プルーフオブワーク)というコンセンサスアルゴリズムにて、マイナーに対する新規発行通貨を配布するシステムは、新たなコンセンサスアルゴリズムの台頭により平等主義を行っていくうえで、最良の手段ではなくなってきたと感じています。
と持論を展開しました。
また、Vitalik氏は発行上限枚数の制限は
イーサリアムの経済圏の安定と、プラットフォームの運用を考えると、ハードキャップを設けた方が好ましいと考えています。
と述べました。
この提案の通りにイーサリアムを構築していくには
Phase 1 Casperに当たる次回のハードフォーク時には今述べたように、マイナーに対する報酬制度の変更が関わるので、リデノミテーションが求められてくることが予想されます。
と述べ、さらに
仮に私の主張であるEIPの最大発行枚数が採択されたとき、既に1億2000万枚を超えていたら、その時は新しくハードキャップを再定義することも必要だともちろん考えています。私個人的には、144,052,828枚、もしくはセールとプレマインを含むジェネシスブロックで発行済み枚数のちょうど2倍のハードキャップが妥当だと考えています。
の様に将来的なイーサリアムの運営面での展望に関しても触れました。
ASICによる中央集権化の阻止
数日前、イーサリアムの開発者であるPiper Merriam氏はEIPにてイーサリアムのコミュニティーはASICが開発したマイニング装置による、中央集権化を阻止するべくハードフォークを考えるべきだと主張しました。
Piper氏は
インターネットにおける情報ソースを見る限り、ASICによるイーサリアムマイニング装置が一般的に売り出される兆しがあるようだ
と述べた上で、さらにBitmaing社がすでにASIC製のマイニングマシーンを用いて、イーサリアムのマイニングを行っている可能性があることに関する示唆も行いました。
EIPでは2つの問いをコミュニティーに向け投げかけ、同氏の意見がまとめられています。
Should Ethereum hard fork to make ASIC mining harder and to demonstrate a willingness to hard fork any future ASIC-based Ethereum mining.
(我々はイーサリアムをハードフォークさせることにより、ASIC製のマイニングマシーンによるマイニングがこれから不可能となることを見せつけるべきなのだろうか)
What changes should Ethereum make to implement this increased ASIC resistance.
ASIC製のマイニングマシーンによるイーサリアムの独占を阻止するために我々はイーサリアムコミュニティーとして何を行うべきなのだろうか。)
マイニングによる中央集権化の未来
仮想通貨は、中央集権ではない、つまりは中央政府や発行元が存在しないにもかかわらず成り立つ通貨として当初注目を集めていました。
しかし、そのシステムを成り立たせるための機能であるコンセンサスアルゴリズムの盲点をASIC製の強力なマイニングマシーンは狙ったともいえるでしょう。
PoW(プルーフオブワーク)はそもそも、ノードの計算力が強力であればあるほどマイニングによるリターンを得られる仕組みとなっています。
もちろん、リターンつまりは報酬が多いということは、ブロックチェーンを介したトランザクションの承認をより多く手助けしているということなので何も問題ないと思われます。
しかし、ASIC社が開発しているような明らかに強力で、今回の場合だとイーサリアムの通貨であるETHを一点集中化させることさえ可能であるといえます。
コンセンサスアルゴリズムは元々、その様に通貨の独占を行うものがいないという仮定に基づいて運用が行われていることもあります。
コンセンサスアルゴリズムには今回のPoW(プルーフオブワーク)、将来的にイーサリアムが移行を考えているPoS(プルーフオブステーク)そして仮想通貨NEMが用いているPoI(プルーフオブインポータンス)など多岐に渡ります。
どのコンセンサスアルゴリズムにも利点、そして弱点がありそれを悪用し、通貨の独占を行おうと試みている企業や団体、そして個人がいることもまた事実です。
資本主義、また中央集権な社会からの脱出が根底にあったブロックチェーン技術のコンセンサスアルゴリズムがいつの間にか、結局既存の資金や力のある者たちに占有され始めている状況が始まっています。
仮想通貨に関わるコミュニティーは、この事実をまずは知ることから始め、そしてイーサリアムのコミュニティーで議論されているような、コミュニティーのための解決策を話し合っていくことが重要となって来るのではないでしょうか。
Ethereum Developers Advocate Anti-ASIC Fork and Hard Cap on Supply