
仮想通貨やビットコインについて調べていると、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)といった言葉を目にすることがありますよね。
PoSとはいくつかの仮想通貨に使われているシステムのようなものです。
今回は、そのPoSとはどのような仕組みで、PoWなどほかのコンセンサスアルゴリズムとはどんな違いがあるのか?
詳しく解説したいと思います。
結論から言うと、プルーフオブステークは
- 保有年数に応じてマイニングの報酬が払われやすい
- 保有枚数に応じてマイニングの報酬が払われやすい
と言うコンセンサスアルゴリズムの仕組みです。(これが全てです。)
本記事の内容
PoS(プルーフ オブ ステーク)とは?
プルーフ オブ ステーク(PoS)とは、その仮想通貨を一番たくさん持っている人が有利にブロックを作成できる(取引情報をブロックに書きこむ権利を得られる=マイニング報酬を得られる)という仕組みのことです。
プルーフ オブ ステーク(PoS)はビットコインなど多くの仮想通貨で採用されているプルーフ オブ ワーク(PoW)の問題点を解決するために生まれた、新しいシステムなのです。
PoSの仕組み1:Coin Age(保有年数に応じた報酬制度)
Coin Ageとは、コインをどれだけの年数保有していたかを表すものです。
保有年数が長いほど、取引をする際やマイニングの際に有利になります。
Coin Ageは以下のようにして計算します。
例えば5ビットコイン(BTC)を3日間保有していた場合は…
【5(BTC)×3日間=15BTC/日】保有していたと表します。
このCoin Ageの考え方はPoSの基本となる考え方です。
保有しているCoin Ageが大きいほどたくさんのコインをマイニングできるようになります。
自分が長く保有しているコインに悪さをする人はいないじゃろ?
悪さするとコインの価値が下がってしまうからじゃ。
だから、コインの保有する年月の長さに応じてマイニングのしやすさに強弱をつけているのじゃ。
PoSの仕組み2:Randomized Proof of Stake(保有量に応じた報酬制度)
何だか難しそうな言葉が出てきましたね?
Randomized Proof of Stakeを日本語に直すと「ランダムなプルーフ オブ ステーク」という意味になります。
仮想通貨の取引を承認する人(マイニングする人)をランダムに(無作為に)選ぶということです。
さらにその仮想通貨をたくさんもっている人ほど選ばれやすくなります。
つまり、保有をたくさん持っている人ほどマイニング報酬を得やすくなるということです。
自分が多く保有しているコインに悪さをする人はいないじゃろ?
さっきの話と同様に、悪さするとコインの価値が下がってしまうからじゃ。
だから、コインの保有するコインの多さに応じてマイニングのしやすさに強弱をつけているのじゃ。
うまいことできておるのぉ。
復習:ブロックチェーンとは取引記録をすべて記録する「台帳」のこと
おさらいですが、PoWでもPoSでもブロックチェーンを用いた台帳であることには変わりありません。
ブロックチェーンとは、行われた仮想通貨取引の記録をすべて記録するノートのようなものです。
日本語では「分散型取引台帳」と呼ばれることもあります。
また、ブロックチェーンにはシステムを管理する人(銀行などをイメージすると分かりやすいでしょう)が存在しません。
では、ブロックチェーンは一体誰が管理しているのでしょうか?
世界中のユーザーが共同で管理しているのです。
つまり、仮想通貨の取引情報を世界中のユーザー全員で共有して、ブロックに記載されている情報に間違いがないか(不正が行われていないか・データの改ざんが行われていないか)お互いにチェックし合っているというわけです。
そして世界中のユーザーたちによって「正しい」と認められたデータはブロックチェーンに書きこまれていきます。
この「ブロックチェーンに記録を書き込む」作業のことを「マイニング」と呼びます。
マイニングとは「ブロックチェーンに記録を書き込む」作業のこと
マイニングとは、整合性が確認できた仮想通貨の取引データをブロックチェーンに書きこんでいく作業のことです。
マイニングを行う人を「マイナー」と呼んでいます。
マイニングは古い記録と新しい記録に整合性があるかどうかひとつずつ確かめながら行う必要があるため、すべてのユーザーがマイナーになれるわけではありません。
なぜならマイニングをするためにはデータの整合性を確認するために必要な、膨大な量の計算をこなすことができるコンピューター設備が必要になるからです。
大きな設備を使用すればそれだけ電力消費量も大きくなり、非常にたくさんのお金が必要になることが分かると思います。
マイニングを行うためには莫大なコストがかかるため、マイナーにはその働きに見合った報酬を受け取ることができます。
報酬はマイニングを行った仮想通貨と、ユーザーが仮想通貨取引の際に支払う手数料などから支払われています。
ただし、報酬を受け取ることができるのは、「膨大な量の計算を誰よりも早く解いたマイナーのみ」と決められています。
PoW(プルーフ オブ ワーク)の問題点とは?PoSが生まれた理由
ではブロックチェーンを繋げる一つの方法であるプルーフオブワークは何が一体問題だったのでしょうか?
そもそもPoW(プルーフ オブ ワーク)とは「仕事の証明」を意味する
プルーフ オブ ワーク(PoW)によって行われる「仕事」の内容を具体的に説明すると
・取引上で不正が行われていないか監視すること
・マイニングによって正しいと認められた取引記録をブロックチェーンに書きこんでいくこと
ということになります。
これがプルーフ オブ ワーク(PoW)と呼ばれるものです。
プルーフ オブ ワーク(PoW)とは、「膨大な量の計算をこなし、誰よりも早く仮想通貨取引の整合性を確認できた人に報酬を与える」という仕組みのことです。
ブロックチェーンに新しくブロックを追加できるのは最初に計算を終えたマイナーのみ、ひとつの計算は10分ほどで答えが得られるように難易度が設定されています。
しかし、プルーフ オブ ワーク(PoW)には様々な問題点があります。
PoWの問題点1:51%攻撃の懸念
悪意のあるマイナー達やグループによってネットワークの全体の採掘能力が過半数以上になると二重支払いなどの不正取引が起こる可能性があります。
PoSでは51%攻撃の問題は少ないと言えるでしょう。
PoWの問題点2:莫大な電力の消費問題
プルーフ オブ ワーク(PoW)を行うためには膨大な電力を消費することになり、電気代も莫大な金額になります。
ちなみに、ビットコインのマイニングをするために消費する電力量は、アルゼンチンで1年間に必要とされる総電力量にせまる勢いであると言われているほどです。
こうしたプルーフ オブ ワーク(PoW)における問題を解決するため、仮想通貨の世界では「プルーフ オブ ステーク(PoS)」を採用しようという動きがではじめているのです。
PoSとPoWの違いとは
プルーフ オブ ステーク(PoS)は、その仮想通貨を一番たくさん持っているマイナーが有利にブロックを作成できるという仕組みです。
プルーフ オブ ワーク(PoW)の問題点を解決するために生まれました。
プルーフ オブ ワーク(PoW)のポイントは「仕事量」
プルーフ オブ ワーク(PoW)は、ブロックチェーンを作成するために高度なコンピューターをたくさん所有して多くの計算をこなし、誰よりも早く答えを導き出したユーザーに報酬が与えられる仕組みです。
「どれだけ多くの仕事量をこなしたか」という点が最も重要になることから、PoW(仕事量の証明)と呼ばれています。
プルーフ オブ ステーク(PoS)のポイントは「仮想通貨の保有量」
プルーフ オブ ステーク(PoS)は、その仮想通貨をたくさん持っている人が新しいブロックを作成する権利を得やすくなる、つまり報酬を得やすくなるという仕組みです。
「その仮想通貨の保有量がどれだけ多いか」という点が最も重要になることから、PoS(掛け金の証明=その仮想通貨にどれだけ掛け金を支払ったか=その仮想通貨をどのくらい保有しているか)と呼ばれています。
上記をまとめると、
・プルーフ オブ ワーク(PoW)は仕事量重視
・プルーフ オブ ステーク(PoS)は保有量重視
ということになります。
POS(プルーフオブステーク)のメリット
PoSのメリット1:消費電力が少ない
プルーフ オブ ステーク(POS)では、プルーフ オブ ワーク(PoW)のようにマイニングのために膨大な量の計算をこなす必要がないため、消費する電力量を最小限におさえることができます。
プルーフ オブ ワーク(PoW)を採用しているビットコインのマイニングには、設備投資や電気代を含め1日1億円以上かかると言われています。
プルーフ オブ ステーク(PoS)を採用すると計算量が少なくなるため専用のマイニング設備が不要になりますし、電力消費量も大幅にカットすることができるのです。
PoSは。地球・環境に優しいコンセンサスアルゴリズムと言えますね。
PoSのメリット2:51%攻撃を受けるリスクが少ない
51%攻撃とは、「データを改ざんしてやろう…」ともくろむ悪意をもったマイナーが全体の過半数(50%)を超える計算能力を手に入れることで、正しい取引記録が破棄され、不正な取引記録がブロックに記載される可能性があるという問題です。
プルーフ オブ ステーク(PoS)の場合、51%攻撃を仕掛けようとすると大量の仮想通貨を保有しなくてはいけません。
時価総額の高い仮想通貨になればなるほど大量保有が難しくなりますから、51%攻撃を仕掛けづらくなるというわけです。
また、大量保有をすることで仮想通貨の信頼度が下がりますから、せっかくかき集めた仮想通貨の価値が暴落してしまいます。
これでは51%攻撃を仕掛ける意味がありませんよね。
PoSのメリット3:ブロック作成時間が短縮できる
PoWでは、取引量が増えるほど送金にかかる時間は長くなっていきます。
しかし、プルーフ オブ ステーク(PoS)ではブロックの作成にかかる時間を大幅に短縮できるため、よりスピーディーな取引が可能になります。
マイナーたちが約10分かけて膨大な計算をしなくても、「誰がいちばん多くその仮想通貨を保有しているか」を確認するだけで良いからです。
PoS(プルーフオブステーク)のデメリット
PoSのデメリットももちろんあります。
PoSのデメリット1:富が集中化する可能性がある
プルーフ オブ ステーク(POS)では基本的に、その仮想通貨を多く保有しているマイナーが有利にブロックを作成できる(=報酬を受け取れる確率が上がる)仕組みになっています。
ですから、「たくさんお金を持っている人がますますお金持ちになっていく」という状況が生まれる可能性があります。
また、通貨の価値が上がるほど、PoS系のコイン後発組は支持しない可能性があります。
理由は保有枚数は先行者に比べると圧倒的に増やすことが難しいからです。
つまり、マイニングへの新規参入が難しくなっていくことも問題と言えるでしょう。
PoSのデメリット2:不正なブロックが作りやすくなる
プルーフ オブ ステーク(PoS)は「不正なブロックを作りやすい」という危険性もあります。
なぜなら、その仮想通貨を大量に保有していれば、ブロック作成権が得やすくなるためです。
さらにプルーフ オブ ステーク(POS)ではプルーフ オブ ワーク(PoW)のようにマイニングに莫大な費用が必要になるわけではありませんから、より不正が行われやすい環境になると考えられるのです。
PoSを採用している仮想通貨を紹介
現在、プルーフ オブ ステーク(PoS)を採用している仮想通貨を日本国内の取引所で購入することはできません。
ただ海外の取引所に目を向けると、プルーフ オブ ステーク(POS)を採用している仮想通貨が驚くほど多いことに気がつくでしょう。
以下にプルーフ オブ ステーク(PoS)を採用している仮想通貨を紹介します。
仮想通貨の名前 | 通貨の表記 |
XP | XP |
Decred | DCR |
B3Coin | B3(KB3) |
StrongHands | SHND |
PACcoin | PAC |
Stratis | STRAT |
Bean Cash | BITB |
XGOX | XGOX |
Dutch Coin | DUTCH |
Interstellar Holdings | HOLD |
BuzzCoin | BUZZ |
Vulcano | VULC |
Phore | PHR |
PIVX | PIVX |
Obsidian | ODN |
Peercoin | PPC |
ShadowCash | SDC |
Clams | CLAM |
イーサリアムはPoSを採用予定!その理由を解説
現在、イーサリアムのマイニングを行う際に使用されている仕組み(ブロックチェーンを作成するために採用されている仕組み)はプルーフオブワークです。
しかしイーサリアムは今後、プルーフ オブ ステーク(PoS)に移行する予定であると発表しています。
なぜ、イーサリアムはプルーフ・オブ・ステークを採用するのでしょうか?
大きく分けて2つの理由があります。
理由1:イーサリアムの維持費用を削減するため
ビットコインに次いで時価総額の大きいイーサリアムですから、マイニング設備を充実させるためにかかる費用は並大抵のものではありません。
また、イーサリアムは決済通貨(モノやサービスと交換できる通貨)としてだけでなく、プラットフォーム(ソフトウェアが動作するための土台・基礎)としての役割も担っていますから、維持費を少しでも減らしたいという狙いもあるのでしょう。
理由2:送金時間を短縮するため
イーサリアムは現在、マイニングが完了し新しいブロックが作成される(取引が承認され送金が完了するまで)までに15秒ほどかかると言われています。
今後ますますイーサリアムの価値が上がり利用者が増えれば、さらに時間がかかることも予想されます。
そこでイーサリアムは取引完了にかかるまでの時間を最大限まで短縮するため、プルーフ オブ ステーク(PoS)の採用を決めたのです。
イーサリアム独自のシステム「Casper」が問題点を解決する
イーサリアム独自のプルーフ オブ ステーク(PoS)システム「Casper」は、基本的にはプルーフ オブ ステーク(POS)と同じで、イーサリアムの保有量の多さによってブロック作成の権利を得やすくなっています。
ただ、これまでのプルーフ オブ ステーク(PoS)と違うのは、不正な取引が行われた場合にペナルティーが課せられるという点です。
きちんとしたルール作りをすることでプルーフ オブ ステーク(PoS)の弱点を補い、より利用しやすい仮想通貨・プラットフォームに変えていきたいという狙いがあります。
PoSを採用する仮想通貨は増えていく
プルーフ オブ ステーク(PoS)とは、
その仮想通貨を一番たくさん持っている人が有利にブロックを作成できるという仕組みのことであり、プルーフ オブ ワーク(PoW)の問題点を解決するために誕生しました。
プルーフ オブ ステーク(PoS)にもメリット・デメリットが存在し、イーサリアムではプルーフ オブ ステーク(PoS)を採用するにあたり、新しい取り組みを始めています。
現時点でプルーフ オブ ステーク(PoS)を採用している仮想通貨はそれほど多くありませんが、イーサリアムがプルーフ オブ ステーク(PoS)に移行することで今後ますます注目を集めることになるでしょう。
まだそれほど価値が値上がりしていないPoSコインを、新たな投資先に選んでみるのも良いのではないでしょうか。
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