
2018年10月1日のリップルの公式サイトにおいて、リップルCEO Brad Garlinghouse氏が、SWELL(スウェル)2018にて、価値のインターネットと顧客の牽引について語る、という最新ニュースの発表がありました。
SWELL(スウェル)とは、毎年10月頃に2日間程度にわたって開催される、リップル社主催のカンファレンスのことであります。
SWELLにおいては、リップルの現状や今後の方針などについて語られ、非常に多くの人の注目が集められます。
また、SWELLにおいては大物有名人による公演もあり、今年(SWELL 2018)においても、リップル社CEOであるブラッド・ガーリングハウス氏や、元アメリカ大統領であるビル・クリントン氏などによる演説もありました。
SWELL 2018においては、10月1日~2日の2日間にわたって開催されました。
今年のSWELLにおいては、以下のようなことが主要な話題として挙げられました。
・リップル社CEOであるブラッド・ガーリングハウス氏による演説
・サンタンデール銀行の国際決済アプリケーション「OnePay FX」拡大について
・グローバル規制対策について
・ブロックチェーン大量採用の転換点が近いことについて
・イギリス送金企業のTransferGoとの提携について
これらの話題については、リップル公式ホームページのニュース記事においても公開されています。
今回はこれらの話題の中でも、「リップル社CEOであるブラッド・ガーリングハウス氏による演説」について、焦点を当てたいと思います。
以下の動画で、SWELLでのガーリングハウス氏の演説の様子見ることができます。
ガーリングハウス氏は、今後どのような姿勢で、どのような方針で、リップル社の目標である「価値のインターネット(今日情報がインターネット上で移動するように、お金のインターネット上での移動が起こること)」を実現していくのでしょうか?
最新ニュース内容の詳細について見ていきましょう。
本記事の内容
リップルCEO Brad Garlinghouse氏が、SWELL(スウェル)2018にて、価値のインターネットと顧客の牽引について語る(原文内容)
リップル社CEO(最高経営責任者)のBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏は、SWELL2018にて、まずリップル社にとってのミッションである「価値のインターネット」を導入紹介し、
価値のインターネットによって、まるで今日において情報が移動するように、世界で価値が移動するようになる
と語りました。
これ(価値のインターネット)は当初からのリップル社でのミッションであり、既存のグローバル金融サービス企業と戦うのではなく、協力して価値のインターネットを構築することに集中しています。
ガーリングハウス氏は、
現在は(新たな時代の)建築者となるチャンスであり、(グローバル金融サービス)企業と提携し、未だ見られていないもの、つまり金融サービスのグローバル化(国境を越えた決済)の時代の幕開けを可能にするチャンスであります。
と説明しました。
しかし、これ(価値のインターネット)を行うには、まずリップル社はある欠けているものに対処する必要があります。
その欠けているものとは、物品の移動、データの移動、価値(お金)の移動、という3つのネットワークであり、これは火に燃料と酸素と熱が必要であることと同様であります。そしてこれらの3つのネットワークは相互運用可能でなければなりません。
1956年にコンテナ輸送が導入されたことにより、今日では世界中の商品を効率的かつ標準化された方法で移動することができます。
さらに90年代にインターネットが導入されたことで、世界中のデータを無料で瞬時に移動することができるようになりました。
しかし、価値(お金)を動かす(つまり価値のインターネットを実現する)には、まだ不確実性を伴い、コストが高くなってしまい、数日という時間もかかってしまいます。
ガーリングハウス氏は、どのようにして情報を交換する際の摩擦を減らせるのか、どのようにしてテキストメッセージやSNS共有などの爆発的使用が引き起こったのか、について指摘しました。
ガーリングハウス氏は、
もし「お金を相互運用可能にする(国際決済する)社会を作るためにコストとしてかかる毎年1兆6,000億ドル」を解放する(国際送金のコストとして毎年かかる1兆6,000億ドルのコストが削られる)と、何が起きるか考えてみてください。
と聴衆に対して要求しました。
(価値のインターネットを構築しようとする)我々を妨げるものは、送金時間やコスト、エラー率などで測られる、世界の金融システムにおける摩擦であります。
彼はまた、
その1兆6000億ドルの課税対象となるのは人口のほんの一部であり、ほとんどの人は(このコストを)支払う余裕がありません。
と述べました。
ブロックチェーン技術は、グローバルな支払いにおけるこの(時間やコスト、エラー率などによる送金における)摩擦を減らし、大きな一歩を踏み出す機会を提供します。
ガーリングハウス氏は、これらの3つのネットワークを組み合わせてできることについて以下のように説明しました。
(私たちはこれらの3つのネットワークを組み合わせることによって)真なる価値のインターネットを実現することができます。
お金を商品やデータと同じように動かすことができます。
また、世界的な商取引が加速し、産業が成長し、新たな人口を取り込むことができます。
ガーリングハウス氏はまた、リップルのブロックチェーン領域(正式にはリップルは、ブロックチェーンではなくXRP Ledgerと呼ばれる分散型台帳を用いている)が新しいということを注意しました。
(リップル以外の)多くの実験は、十分な結果を出していないもので満ちています。
リップルは、実際にブロックチェーンの使用例があることと実際に製造フローがある、という点で特有であります。
これは、リップル社が多くの問題ではなく、1つの問題(国際決済システムの問題を解決し価値のインターネットを構築すること)のみを解決することに集中しているからです。
ガーリングハウス氏は以下のよう説明しました。
あまりにも多くの企業がピーナッツバターのような問題を抱えています。
それらの企業は自分自身を非常に薄く広げ、さまざまな問題に取り組んでいます。
対照的に、リップル社は、ブロックチェーン技術とデジタル資産を使って、グローバルな支払い(国際決済)問題にどう対処できるかを深く理解しています。
SWELL 2018では、リップル社のグローバルな決済(国際決済)のための高度なブロックチェーン技術が、顧客におけるより良い国際決済の経験をどのように提供するか、について焦点を当てています。
ガーリングハウス氏はステージ上でいくつかの例を挙げました。彼は、日本とタイの間に取引経路を開けたSBIレミット(六本木を拠点とした国際送金サービス会社)とサイアム商業銀行が、日本に住む4万5千人以上のタイ人労働者に新しいサービスをもたらしたことについて語りました。
彼はまた、リップルネットの成長についても言及しました。
リップルネットワーク上では40か国を繋ぐ取引経路があり、PNC銀行やサウジアラビア国立商業銀行などの大手金融機関が最近リップルネットワークに追加されました。
最も注目に値するのは、xRapid(リップルの送金ソフトウェア製品)がパートナーであるMercuryFX、Cuallix、Catalyst Corporate Federal Credit Unionという3つの金融機関と共に商品化に移行しているという彼の発表でした。
今日、リップル社はCurelixと共にの米国からメキシコへのオンデマンド(必要に応じた)の流動性のために、XRPを使用して実際の決済を行っています。
ガーリングハウス氏は次のように結論付けました。
私たちは、顧客の問題を解決する能力さえあれば十分です。
そして、MercuryFX、Cuallix、Catalyst Corporate Federal Credit Unionのようなパートナーは、xRapidが真の問題を解決していることを実証していきました。
SWELL 2018の最新の記事を見るには、Insightsにアクセスし、明日から10月3日水曜日までにかけてTwitter、LinkedIn、またはFacebookでフォローしてください。
今後2日間にかけてのSWELLカンファレンスの様子のビデオを我々のYouTubeチャンネルで見ることができます。
CEO Brad Garlinghouse Talks Internet of Value and Customer Traction at Swell 2018
考察:複数金融機関でのxRapid商用化の発表 今後は提携・実用化に向けて前向きな姿勢
2018年10月1日にリップル社主催のカンファレンス「SWELL(1日目)」にて、リップル社CEOガーリングハウス氏による、「価値のインターネット」を目指す上での現状と今後のリップルの予定について発表がありました。
その中で重要なこととしては、
・リップル社は既存の金融機関を覆すというよりは、むしろ協力的な姿勢
・リップルネットワークの拡大は現在も進んでいる
・複数金融機関でのxRapidの商用化への移行が進んでいる(※一番重要)
が挙げられると考えます。
一つ目に関して、イメージとして、仮想通貨は既存の金融システムを崩壊させて全く新しい取引決済システムをもたらすものだ、と考えている人はいると思います。
しかし、リップルに関しては、ただ「価値のインターネット」を実現したいというだけの1つの目標実現のために、既存の金融機関とはむしろ協力的な姿勢を取ろうとしております。
そして、この協力的な姿勢を取ることにより、既存の金融機関との提携を増やそうとしており、この姿勢は今後も続くと考えられます。
二つ目に関して、国際決済のためのリップルネットワークは現在40か国もの間で繋がっており、リップルネットワーク拡大のための金融機関の提携は今後も進んでいくと考えられます。
最近では、PNC銀行(米大手銀行)やサウジアラビア国立商業銀行などの大手銀行がリップルネットワークに追加されました。
三つ目に関してですが、MercuryFX、Cuallix、Catalyst Corporate Federal Credit Unionという3つの金融機関において、xRapid(リップルの送金ソフトウェア製品)の商品化へと移行していると、ガーリングハウス氏による発表がありました。
MercuryFXは、イギリスを本拠とする世界有数の外貨為替サービス業者(国際送金サービス業者)であり、大企業から個人までに至って高速で効率的かつ低コストな通貨サービス(50以上の通貨を取り扱う)を提供しております。
Cuallixは、メキシコやアメリカ、香港などを拠点とする25年以上の歴史を持つ企業で、個人及び企業に決済ソリューションサービスを提供しており、アメリカ・メキシコ間でのxRapidのテストの成功が報告されています。
Catalyst Corporate Federal Credit Unionは、アメリカを本拠とする金融サービス業者であり、1400以上の顧客に決済ソリューション、流動性、投資オプションなどの様々なサービスを提供しております。
以下の、リップル公式アカウントのツイートから、xRapid商用化に対して非常に注目を集めていることが分かります。
xRapid is going into commercial production. @mercury_fx_ltd, @Cuallix and Catalyst Corporate Federal Credit Union will be the first to make on-demand cross-border payments on RippleNet using #XRP. https://t.co/dQ02J4vdBl
— Ripple (@Ripple) October 1, 2018
(和訳)
xRapidは商用化に移行しております。MercuryFX、Cuallix、Catalyst Corporate Federal Credit Unionという3つの金融機関は、XRPを使用し、リップルネット上で、オンデマンド(必要に応じて)の国境を越えた決済(国際決済)を実行する、最初の企業となるでしょう。
SWELLでのガーリングハウス氏の発言からも分かるように、現在、リップル社のリップルネット構築のための、金融機関との提携や実用化は順調に進んでいると考えられます。
今後もこの前向きな姿勢は続いていくと考えられます。