
『無料』で手に入れられるものなどこの世界にはないとよく言われますが、エアドロップという概念はその考えを覆すこととなりました。
エアドロップを用いることにより、何百ともいえる仮想通貨を無料で、手に入れることが出来ます。
ICOによる資金集めが一般的になっていく中で、ICOを行う企業が一種のマーケテイング戦略として同社のトークンを無料で配布する、エアドロップも同時に一般化されました。
世の中の仮想通貨に対する理解は年々、投機対象と認識されていく中で、エアドロップが法律面でどの様に扱われるべきなのかは未だ議論の余地があるといえます。
エアドロップという新しい概念
初期のころのビットコインにも、エアドロップの様な仮想通貨を広めるための方法はいくつか行われていました。
ビットコインが未だほぼ無価値で、流通量を増やしたかった頃を顧みると、BTCを所持したい人には誰にでも配られていることもありました。
今日では、その分配手段としてエアドロップが一般化し始めており、一種のトークンエコノミーの表れだとも言えます。
もちろん、エアドロップによって配布が行われている通貨は大抵がほぼ無価値の様な通貨ですが、ビットコインの歴史を振り返ると、少なからずチャンスがあるといえます。
先週ロンドンにて行われた仮想通貨投資家を対象としたイベントでは、イベントに対するプロモーション方法として『Free drinks+ Airdrop (無料のドリンクとエアドロップ)』という謳い文句が広告として打たれ話題となっていました。
エアドロップを積極活用し、通貨の無料配布を進めていく動きは、仮想通貨市場ではマクロ的に全体が流れに乗っかる形となっています。
また、ツイッター上で、著名なトレーダーなどはエアドロップ自体を宣伝するインフルエンサーとしてさらにエアドロップにおける報酬が増える形となっています。
誰もがエアドロップを利用することにより、何かしらの利益を得ることが出来るため人気となっているエアドロップですが、もちろんその通貨が市場において価値を帯びるかは帯びないかを測りえることはエアドロップ時にはできません。
エアドロップの有効活用方法
仮想通貨初心者にとっては、エアドロップは自身のポートフォリオを作っていくうえで、スタートダッシュを切らせてくれる存在となり得るでしょう。
エアドロップにより、自動的にポートフォリオが形成され、結果としてウォレットの使い方や通貨の受け取り方を主体的に学びだすことが出来ます。
つまり、エアドロップは仮想通貨にとって、また仮想通貨に関わるユーザーにとっては圧倒的プラス材料となっているといえます。
仮想通貨において、エアドロップは明らかに浸透してきており、オンライン上のスレッドであるBitcointalkやTelegramのグループなどでは、エアドロップの知らせがあるたびに、常に『今回のエアドロップを見逃したら損するぞ』との報告がユーザー間によって行われています。
ほぼ全てのエアドロップによるトークン配布はERC20に対応しているものでしたが、最近では新たな方法も発明されています。
例えば、仮想通貨NEOはERC20のシステム上ではなく、ONTを用いたエアドロップを行いました。
ICOのトラッキングを行っているのと同じ様に、AirdropalearというWEBサイトでは今後のエアドロップ、エアドロップ中のもの、そして過去に行われたエアドロップの3つに分類されリスティング化されています。
現在エアドロップ実施中なのはBoutspro、Yee、Sofin、そしてAelfと呼ばれる通貨です。
プロジェクトの初期段階において、トークンの配布を行うのは、ほぼ無価値の通貨を配っていることと同じなので、企業側からしたら行いやすいプロモーション活動です。
エアドロップにおける肝は、エアドロップ完了後のユーザーを企業のプラットフォームを介して利用させることにより、通貨への定着を図る点にあります。
そうすることにより、必然的に市場における通貨の価値は上昇し、企業側またエアドロップを行った側全員が利益を得ることが出来ます。
エアドロップは『今』だけかもしれない
仮想通貨に関わる様々な法的議論が行われていますが、エアドロップに関わる議論はさほど行われていません。
果たして、無料で将来的に価値を帯びる可能性があるものを配布する行為は証券で定められている法律に触れる可能性があるのでしょうか?
恐らく、その可能性は低いといえます。
Tokendataでは以下の様なエアドロップに対する考えが投稿されました。
エアドロップはICOを行う企業にとって、最適なプロモーション活動と言えるだろう。
エアドロップは証券法に触れることなく、通貨の配布が行えるにも関わらず、プロジェクトの認知度を一時的に上げることが出来るからだ。
Tokendataでは続けて、エアドロップが将来的に法的規制を受ける可能性があることについても触れています。
エアドロップにおける最大の問題点とされるのは、ICOを行う際は一般的となったKYCを介さずに通貨の配布を行えるという点にあります。
仮に、エアドロップを行う際もKYCが必要であるとなった場合、エアドロップを行う母体数の減少は避けることができないでしょう。
人々はもちろん『無料』と聞けば駆け付けますが、それに伴う価値を得るまでにKYCの様な様々条件を突き付けられた瞬間、離れていく人がいることは言うまでもありません。
しかし、だからと言ってSECがみすみすICO以前のエアドロップによる投資家の利益(トークン全体の5%程)を見過ごすとは考えにくいです。
ブロックチェーンアドバイザーであり投資家であるOliver Isaacs氏は
エアドロップが人気を博していることは投機の基本を考えれば当然といえ、それは、価値が低いうちに買うという基礎中の基礎に辿り着いています。ICOを行う企業は、エアドロップを行う際は法律的に問題が無いか、注意して行わなければ全てが無駄となる結果となってしまいます。
と述べています。
ただ実際は、誰もエアドロップに対する規制がどうなるか知る由もないのが現状です。(もちろんアメリカを含む全世界の人々)
トークンは既存の金融商品ではなく、全く新しい概念によって定義づけられるかもしれません。
しかし、トークンの概念がどの様なものになるにしろ、そこに価値を帯びる可能性があるのであれば、規制の対象となることは避けられません。
仮想通貨のユーザーは、どちらにしろ無料で手に入れられるという点は変わりようがないので、心配する必要がありませんが、ICOを行う企業側にとっては非常に大きな問題となってきます。
エアドロップ自体が将来的には違法行為となる可能性もあると考えると、今がユーザーにとってもICOを行う企業側にとっても最後のチャンスなのかもしれません。
この機を逃さないわけにはいきません。
エアドロップが創り出すトークンエコノミー
エアドロップの本質は『誰でもトークン(価値を帯びた、または将来的に帯びる)』を手に入れることが出来るという点にあります。
貧富の差や、機会平等、そして男女平等が叫ばれるこの世の中で、これほどまでにすべてが平等に与えられた機会はなかなかないと言えます。
しかし、結局最後は『エアドロップが実施されることを知っていたか』という点に行きつき、あらゆる手段を使って『情報』に辿り着いていたかということに終点します。
トークンエコノミーの社会となっていく中で、最も重要な自分自身で価値ある情報に辿り着く、この能力が求められていく中で、エアドロップはその大きな例であるといえるでしょう。
その事実に気が付いたものだけが、『平等』を感じることができる世の中に存在できる、そしてそれこそが次世代の生き方になって来る可能性は計り知れません。