
今かなり話題になっているビットコインETF。
いくつものETFが申請されては否認されましたが現在、申請中で審査待ちのものもあります。
ここで気になるのが「ビットコインETFって本当に承認されるの?」という点ですね。
今回はそんなビットコインETFの
・そもそもビットコインETFとは何か?
・ビットコインETFはいつ・どれくらい承認される可能性があるのか?
・もしビットコインETFが承認されたらどんな影響があるのか?
について詳しく解説します。
本記事の内容
そもそもETFとは?
ビットコインETFについて解説する前にあまり馴染みのないETFについて解説します。
ETFは投資信託と株式のハイブリット?両者との共通点を解説
投資信託 | ETF | 株式 | |
① 上場/非上場 | 非上場 | 上場 | 上場 |
②市場価格 | 1日1回変動 | 常時変動 | 常時変動 |
③ 運用主体 | 専門家 | 本人 | 本人 |
④運用管理にかかるコスト | 保有している間、コストが発生し続けるため高め | 費用はかかるが投資信託よりも安め | なし |
⑤ リスクの大きさ | ローリスク | ローリスク | ハイリスク |
ETFは投資信託と株式、二つの資産運用対象との共通点を持ちます。
その中でも株式との大きな共通点は
①上場している
②市場価格が常時(リアルタイムで)変動する
③資産の運用主体は本人である
という3点です。
また、投資信託との大きな共通点は
「ローリスクである」
という点です。
これらの特徴をETFが持つことで、「株式やってみたいけど、大損したらどうしよう。」という不安が解消されるわけですね。
資産運用を今までよりももっと、手軽に趣味にすることができます。
株式と信託投資との共通点がわかったところでここからは両者との共通点について掘り下げてみましょう。
株式との最大の違いは「リスクの大きさ」
ETFと株式の最大の違いはリスクの大きさです。
一般的に、株式がハイリスクなのに対してETFはローリスクと言われています。
というのも、株式投資ではどの会社にいくら投資するのかを自ら決める必要があります。
また、その売買を決める際には個別の企業の値動きを見ますが値動きの幅が大きいです。
加えて、基本的に特定の企業にしか投資できないため大きく儲かるチャンスがある一方で、大きく損をするリスクもあります。
その点、ETFは一般的に日経平均株価を指数として連動します。
これにより、ハイリスクを避けることができます。
市場全体の値動きを表す日経平均株価に連動するETFを買えば上場している企業全体の値動きの平均に投資することになります。
ですから、特定の企業の値動きをみて投資するよりも断然ローリスクというわけです。
「投資を始めてみたいけど、自分で運用してみたい。」という方にピッタリです。
投資信託との最大の違いは「上場か非上場か」
ETFは上場していますが投資信託はもちろん上場していません。
そこからETFは「上場した投資信託」と称されることが多くもあります。
こうして見てくると株式との共通点が多いですね。
特に株式のメリットがそのままETFになった感じがします。
ですがETFは株式のハイリスクであるというデメリットを持たず、投資信託と同様ローリスクであり、しかもうまくいけばハイリターンを見込めます。
まさに株式と投資信託のいいとこどりです。
ビットコインETFとは?
ビットコインETFがどんなものであり、現在どんな状況にあるのかを整理してみましょう。
現在、複数の取引所や証券会社などがビットコインETFの取り扱いの許可を米国証券取引委員会(以降、SEC)に申請している状況です。
ビットコインETFの最大の特徴はビットコインの市場価格と連動していること
前でETFは通常日経平均株価を指数として連動すると述べましたが、ビットコインETFはビットコインの市場価格を指数として連動します。
確かにビットコインは値動きしますが、仮想通貨市場で最も規模が大きいですから取り返しがつかないほど大暴落するといったことはなさそうです。
ローリスクですね。
ビットコインETFが上場するとビットコインにはどんなメリットがある?
最大のメリットはビットコイン市場の活性化につながることです。
ビットコインETFがSECに認められれば公的機関に認められたというお墨付きがもらえます。
するとビットコインETFだけでなくビットコインに対する信頼が高まることが予想されます。
ビットコインに対する信頼が高まれば新規参入する投資家も出てくるでしょうし、なにより機関投資家が参入してくると見込まれています。
機関投資家は当然ですが個人の投資家よりもたくさんの資金を投資します。
ですからビットコイン市場に、より多くの資金が出回り現在よりも流動性が高くなります。
流動性が高くなれば投資家たちのビットコインの売買が活発化し市場が活性化します。
現在のビットコインETF事情とは?
ビットコインETFが上場した時のメリットを知って気になるのが、「じゃあ、いまビットコインETFってどんな状況なの?」というところだと思います。
結論から言うと、現在ビットコインETFは投資会社による申請とSECによる否認を繰り返している状況です。
今年8月に9つのビットコインETFが申請されるも否認
今年8月22日(現地時間)にアメリカの投資会社が申請していた9つのビットコインETFがSECによって否認されてしまい投資家たちが肩を落としました。
上場申請がなされていたビットコインETFはProShares社から2種類、GraniteShares社から2種類、Direxion社からは5種類の計9種類でした。
また、GraniteShares社とDirexion社のビットコインETFは承認可否判断の回答期限前にも関わらず否認という回答になってしましました。
この申請された9つのビットコインETFには共通する問題点があったということじゃ。
SECは否認とした際にその理由として「価格形成における信頼性の低さ」を挙げています。
価格操作されてしまう可能性があるのではないかと懸念したようです。
つまり、「意図的に値段を吊り上げられて投資家たちが大損したり、詐欺に合ったりといったリスクに対する対策や配慮がまだ不十分だから認めることはできない。」というのが今回の否認の原因です。
この否認の理由は7月に申請し否認されたウィンクルボス兄弟のビットコインETFのものと同じでした。
しかし翌日には9つのビットコインETFの承認可否判断が延期されることに
前に述べたように9つのビットコインETFは一度否認されましたが翌日23日、SECは再審査することを発表しました。
そのきっかけはSECのコミッショナー(責任者)の中にビットコインETFに対する否認決定に異を唱える人がいたからでした。
In English: the Commission (Chairman and Commissioners) delegates some tasks to its staff. When the staff acts in such cases, it acts on behalf of the Commission. The Commission may review the staff's action, as will now happen here.
— Hester Peirce (@HesterPeirce) August 23, 2018
それが「クリプト(仮想通貨・暗号通貨)ママ」の愛称をもつへスター・ピアース氏です。
SECには「コミッショナーのうち一人で否認決定に反対する者がいた場合には再審査を認める」といった主旨の規定があります。
今回はこれを踏まえての再審査となります。
ピアース氏は今回の否認の決定要因内にSECが判断すべきことではない要因が含まれているといったことを懸念しています。
つまり、ビットコインの歴史がまだ浅く、発展途上にあることが今回の否認決定の一要因になっているのではないかと指摘しています。
しかし、この決定を覆すには意思決定権を持つコミッショナーの過半数の同意が必要になります。
認可される可能性が高いのかといえばそういうわけでもありません。
結局、現在のビットコインETFは投資会社がSECからフィードバックされた課題点を改善した自社のビットコインETFを申請してはSECから否認されという流れを繰り返している状況が続いています。
少しでもSECが求める水準に達しようと投資会社はビットコインETFの開発を続けています。
ビットコインETFの可否決定がビットコインの市場価格に与える影響とは?
これまで10個以上のビットコインETFが申請されては否認されてきました。
その際に気になるのが、ビットコインの市場価格への影響ですね。
ビットコインETFが否決されたとき市場価格は下落
結論から言うとビットコインETFが否決されたときにはビットコインの市場価格は下落しました。
具体的に先ほど見た9つのビットコインETFの申請が否認された8月22日(現地時間)の翌日23日(現地時間)未明からのビットコインの市場価格の値動きを見てみましょう。
22日にビットコインETFに対し否認の判断が下されると翌日23日未明から朝方にかけて一気に市場価格は下落しています。
しかし、よく見てください。
たしかに、23日未明から朝方にかけてビットコインの市場価格は下落しています。
ですが、その後また上昇しその2日後の25日にはビットコインETFが承認されるかもしれないと期待がピークに高まってたときの市場価格を超えています。
つまり、価格が落ち込むのはせいぜい数日間なのであってすぐに元に戻るのであまり神経質になる必要はないということです。
というのも、ビットコインは仮想通貨の市場規模で言えば最大の仮想通貨です。
ですから、ビットコインETFが否認されたというような1要因くらいでビットコインの価格が大幅に下がって戻らないという状況は考えにくいです。
ビットコインETFが可決されると市場価格は上昇する?
ビットコインETFが可決されると市場価格は上昇すると見込まれます。
そう見込める根拠は2つあります。
根拠①9つのビットコインETF承認可否判断を控えた前日の相場価格の上昇
根拠の1つ目は可決されるかどうかわからないにもかかわらず9つのビットコインETFの承認可否判断を控えていた22日未明からお昼ごろにかけての相場価格がかなり上昇している点です。
日本円にして約3万円ほど値上がりしています。
この価格の上昇の要因はもちろん一つではありません。
しかし、先ほどにもあった9つのビットコインETFの承認可否判断がなされる日にちでありビットコインETFへの期待が高まったという要因が考えられます。
一方で、この価格の上昇に関してはアルトコインの価格もビットコイン程ではないにしろ上昇しています。
ですから、過去の事例を引き合いに出して「ビットコインETFへの期待が大きかったから」と断言することはできません。
そこで、2つ目の根拠です。
根拠②ビットコインETFが承認後にビットコインの市場規模が広がるという確実性
根拠の2つ目は前にも触れましたがビットコインETFが承認されれば間違いなく、より一層ビットコインの市場規模が広がるという点です。
ですがこの点について先ほどまでとは違う切り口から考えてみたいと思います。
そもそも仮想通貨の市場価格の変動がどのように起きているのかを考えてみましょう。
仮想通貨に投資する場合、投資家たちは「いつ購入し、いつ売るのか」を考えます。
そうすると、「ビットコインの値段が下がった時に購入し、高騰しているときに売りたい」と思うわけですね。
投資家たちがいつ高騰するのかと考える際、「何が要因となってビットコインに対する期待が高まるのか」という部分を考えますね。
つまり、市場価格は投資家たちの期待の度合いによって上下するわけです。
ビットコインETFはビットコインの市場規模を広げるという点でビットコインの価値を上げるのでは?と期待されています。
ですから、ビットコインETFが承認されればビットコインに対する今後への期待になるに違いありません。
というわけで、ビットコインETFの可決によって市場価格は上がるとみられます。
今後ビットコインETFはいつ、どれくらいの可能性で承認されそうなの?
ビットコインETFの申請の現状と可決された時のメリットを見てきましたが実際にはいくつものビットコインETFが否認されています。
そうなると「メリットが多いことはわかったけど、そもそも本当にビットコインETFって承認されるの?」と思ってしまいますよね。
今後、他に認可される可能性のある注目のビットコインETF2つをご紹介
今後再審査になった9つ以外に認可されそうなビットコインETFにはどんなものがあるのかについて解説します。
①可否決定が延期されたCboe(シカゴ・オプション取引所)のビットコインETF
この企業のビットコインETFが注目すべきであると言える根拠はなんといってもこの企業の特徴です。
Cboeは世界でも有数の取引量を誇る世界最古の取引所です。
そのため、SECとの関係も長く信頼度も高いと言われています。
また、ただ取引所としての歴史が長いだけでなく投資家を保護する体制もきちん整っています。
例えば、Cboeのビットコインには保険をかけることができます。
こうすることで仮に投資家がトラブルに巻き込まれても保護を受けることができます。
そんなCboeのビットコインETFに対してSECは9月30日まで延期する予定であるという見解を示しています。
しかし9月30日より早く判断が下される場合も十分にありますし逆に、さらに延期する可能性も十分にあります。
追記
9月25日にSECは再度承認可否判断を12月末まで延期しました。
ますます目が離せませんね。
②インターコンチネンタル取引所が設立した新会社BakktのビットコインETF
Bakkt社のビットコインETFはまだ申請されていないようです。
しかし、SECがビットコインETFに対して挙げた「価格形成における信頼性の低さ」という問題点を解決する取引所ではないかと非常に注目されています。
というのもBakktは
“価格発見”機能において、特に重大な要素は「現物」引渡しだ。当社のソリューションでは、ビットコイン売買が完全に担保されているか、あるいは事前積立されている。したがって、ビットコインに関する新たなコントラクトは、マージンやレバレッジ取引を一切行わない。
と述べています。
要するに実際にビットコインという「現物」がないと取引をしないと公言しています。
というのも、マージンもレバレッジも「現物」全てがなくても投資できるのが特徴でした。
もし、この取引所がビットコインETFを申請したら認可される可能性が高そうですね。
SECは問題点が改善されれば認可する意向を示す
SECはこれまで数々のビットコインETFの申請を否認してきました。
しかしSECは、その際に企業側に対してあくまで取引所に問題があるだけでビットコインやブロックチェーン自体に価値を置かないわけではないと強調しています。
ですから、SECが提示する「価格形成における信頼性の低さ」という問題点を解決できれば十分認可される可能性はあります。
結局、ビットコインETFは承認されるとしたらいつ承認されるの?
おそらく来年の2月になるのではないかと予想できます。
現在、再審査中であるProshares社などのビットコインETF9つとCboe社のビットコインETFが承認可否判断を待っている状況です。
再審査になった9つのビットコインETFに関してはその期限が明確に示されていません。
一方SECはCboe社のビットコインETFに関して、最長で来年の2月まで決定を延期することができます。
しかし、SECはこれまで新しい資産の承認に対してかなり慎重になってきました。
十分に議論して投資家たちにとって本当に公正で安全なものかが明確にならないと承認されません。
ですから、今回も期限ギリギリまで慎重な議論がなされるのではないかと考えます。
この件に関しては例えばカナダの大手投資銀行であるカナコード・ジェニュイティも来年の可否判断が下されるのは来年になるのではないかとの見解を示しています。
ですから、承認されるとしたら来年になる可能性が高いと言えます。
ビットコインETFに関するまとめ
ビットコインETFに関して押さえてほしい点は3つです。
①SECが提示した問題点さえ解決すればビットコインETFが承認される可能性は十分にある
②もしビットコインETFが承認されればビットコインの市場価格は値上がりが見込める
③もしビットコインETFが否認されても市場価格への影響は一部に限定される可能性が高い
確かにビットコインETFには課題がありますがビットコインはまた、新たな挑戦をしていると言えます。
その挑戦や挑戦の結果に対する期待度や評価が如実にビットコインの市場価格に現れます。
今後のビットコインの動きに注目です。