
Zcash(ZEC)は匿名性暗号通貨の1つで、2017年には米メガバンク、JPモルガンとの連携を発表しました。
今注目の匿名性通貨ですが、メリットやデメリットをきちんと知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では
・Zcashの特徴や仕組み
・Zcashの最新ニュースや今後の動向、将来性
・Zcashを取り扱う取引所や購入方法
をご紹介いたします。
まずは、ジーキャッシュについて、わかりやすく30秒で解説した動画を用意したのでこちらをご覧ください。この動画を見てから内容を読んで頂くと理解しやすいですよ。
では、ジーキャッシュの詳しい解説をご覧ください。
理解しはすくなっていると思いますよ。
本記事の内容
Zcash(ジーキャッシュ)とは何か?初心者でも簡単に分かる概要
Zcashの仕組みや特徴を詳しく解説する前に、まずは簡単にZcashの概要をまとめました。
Zcashの入門まとめ|マネピwiki
通貨の名前 | Zcash (ジーキャッシュ) |
通貨単位 | ZEC |
発行上限枚数 | 2,100万ZEC |
取り扱い国内取引所 | Coincheck |
取り扱い国外取引所 | HitBTC、Houbi、Bitfinex |
開発組織 | Zcash Foundation |
開発者 | Zooko Wilcox |
公式サイト | https://z.cash |
ホワイトペーパー | http://zerocash-project.org/media/pdf/zerocash-extended-20140518.pdf |
ジーキャッシュとビットコインのスペックを比較
ビットコインと比較してジーキャッシュのスペックを解説します。
比較項目 | Zcash | Bitcoin |
総発行枚数 | 2,100万ZEC | 2,100万BTC |
取引承認システム | POW (Proof of Work) | POW |
取引承認スピード | 2.5分 | 10分 |
ブロックサイズ | 2MB | 1MB |
半減期 | 840,000ブロック毎 | 210,000ブロック毎 |
Zcash(ジーキャッシュ)|zecの特徴とは?仕組みや技術ついて解説
Zcashは同じく匿名性仮想通貨であるDashやMoneroに比べても、さらに秘匿性が高いと言われています。
ここでは「取引の”秘匿性”を高める」そもそもの理由やそれを可能にする仕組み、他の匿名性通貨にはないZcashの特徴について、ご紹介していきます!
何のための匿名性?Bitcoinなどのセキュリティ面の問題
Bitcoinなどの通貨では、ブロックチェーン上の情報から通貨の流れを追跡することができるようになっていることをご存知ですか?
これはどのアドレスからどれくらいのトークンが送金されたのかを分かるようにし、通貨の流れの透明性を高くすることで通貨が不正に盗まれることなどを防ぐことを目的にしています。
逆に考えると、アドレスが誰のものかばれてしまった場合、その人がそれまでにどのような取引をしたか、どのくらいの資産を持っているかなどの情報が全て漏れてしまうことになります。
例えば、取引相手に自分のアドレスを送ったとしましょう。
ブロックチェーン上にあるそのアドレスの情報を確認することで、相手は貴方の取引履歴(送信先のアドレスや数量)を知ることができます。
見られるだけでも良い気持ちはしませんが、ビジネスをしている場合、会社の過去の取引を他社から交渉材料にされてしまう、なんてこともあるかもしれません。
「でも注意深くして、大切なアドレスを送らなければ、自分の公開鍵は特定されないでしょ?」
と思っていませんか?
実はこのアドレス、国家などの大きな権力やハッカーなどに調査されたら特定されてしまう可能性が高いのです!
そこでプライバシーを守るために開発されたのが「匿名性暗号通貨」と呼ばれる仮想通貨です。
匿名性暗号通貨には、Zcashの他にもDash・Monero・Komodoなどがあります。
後ほど、これらのコインを比較し、違いをまとめましたので、よろしければ参考になさってください。
Zcashはビットコインの匿名版通貨!プロトコルは同じ
Zcashはビットコインの匿名版だと考えてよいでしょう。
Zcashはビットコインのプロトコルをもとに作られているため、合意性アルゴリズムPOWや半減期なども同じです。
ビットコインにとてもよく似ていますが、取引(送金)内容の秘匿性が高いという特徴を持ち合わせています。
どうしてそれが可能となっているのか?
技術的な説明は次の項目で説明いたします!
ブロックサイズに関しては、ビットコインが1MBであるのに対して、Zcashは2MBですので、スケーラビリティ(※)の点では勝っているということができますね!
トランザクションの容量が大きい分、スマホなどのウォレットでの決済というよりは、ビジネスで活用されていくイメージだと思います。
※ビットコインは、1つのブロックに対して書き込める取引が1MBと指定されているために、トランザクションの処理が混みあい遅くなるという「スケーラビリティ問題」を抱えています。
Zcash特徴|ZK-SNARKの「ゼロ知識証明」による高度な匿名性
ZcashはZk-Snarkという技術で、取引の秘匿性を高くしている点が最大の特徴です。
Zk-Snarkには「ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)」という暗号理論の方法が用いられています。
「ゼロ知識証明」とは“命題の内容を知らないまま、その命題が真である(正しい)ことを証明するための方法”です。
ある試行を何度も繰り返すことで、本当は偽である(間違っている)命題を真であると主張しても、それを見抜くことができるようになっています。
簡単な例でZcashのゼロ知識証明を理解しよう!
ある鍵のパスワードを知っている人(証明者)がいて、別の人(質問者/検証者)は証明者が本当にパスワードを知っているのが確かめたいと思っています。
ただ証明者はパスワードの番号自体を教えたくはありません。
そこで検証者は、上の図のような洞窟の分かれ道を使って証明者が本当にその鍵を開けることができるかを、以下の方法で確かめることにしました。
分かれ道は洞窟の奥でつながっていて、扉の鍵のパスワードを知っていれば、一周して戻ってくることができます。
①先に証明者が1人で洞窟に入り、どちらかの道をランダムに選んで道の奥まで進みます。
②検証者は少し遅れて分かれ道まで進み、証明者にどちらの道から戻ってきてほしいかを大きな声で告げます。
③証明者がパスワードを知っていれば、「もと来た道を戻ってくる」か「扉を開けて逆の道から戻ってくる」ことで検証者に指定されたほうの道で戻ってくることができます。
この試行を1度しか行わない場合、証明者は50%の確率で正しい道を戻ってくることができますが、例えばたった20回繰り返すだけでも、全て正しい道を戻ってくることができる確率は0.0001%未満になります!
このように上の試行を繰り返すことで、検証者は証明者が正しいパスワードを知っていることを(パスワード自体を知らまいまま)確かめることができるのです。
これを仮想通貨の取引に応用して、第三者がトランザクションの内容(アドレスや取引高)を知らないままで、取引に不正がないことを確認できるというのがZcashの仕組みです。
アルゴリズム”Equihash”|ZcashのASIC耐性は?
ASIC(エーシック)とは特定用途のための集積回路のことで、仮想通貨では、マイニングのための演算に特化したコンピューターを表します。
一部のマイナーにマイニングを独占されてしまっては困るため、Zcashの開発チームは”Equihash”というアルゴリズムを採用し、ASIC耐性を持たせています。
取引の公開範囲|Zcashではどこまでが隠されるの?
結論から申しますと、Zcashでは送受信アドレスと数取引数量に加えて取引の有無自体が非公開となります。
例えば、ビットコインでは、ブロックチェーンのデータを読むことでどのアドレスからどのアドレスにいくら送金しているのか追跡することができます。
同じPoWのマイニングの仕組みを採用していても、Zcashではこれらのアドレスや数量の情報だけでなく、さらに取引があったかどうかも分からなくなるのです。
この点で、同じ匿名性暗号通貨であるDashやMoneroよりも高い匿名性を実現していると言えると思います。
ただ、全ての送金が自動的に非公開になるわけではなく、用途に合わせて取引の際に「公開or非公開」を送金者が選択できる仕組みになっています。
Zcashの欠点|グレーな資金の取引や犯罪に利用される?規制は?
ビットコインを超える匿名性の高さから、今後注目のZcashですが、実は欠点や問題点もあります。
特に問題点②と③はZcashに限らず、匿名性暗号通貨と言われる仮想通貨の問題点として挙げられますので、MoneroやDash、Komodoの購入を考えている方もぜひ参考にしてみてください。
Zcash問題点①Trusted Setup問題とは?解決策は”セレモニー”
Zcash開発時に、「通貨の発行に関する情報」を削除するという段階を踏まなかったために、開発グループが今後も自由にコイン発行をすることができるという問題です。
実際にそのようなことが行われている可能性はとても低いのですが、開発者がシステムに入力する情報が部外者に漏洩した場合、勝手に通貨を発行されてしまうことになります。
そのため、現在Zcashの開発側は「通貨の発行に関する情報」を記録したデバイスを物理的に破壊する、”セレモニー”と呼ばれる対策をとり、Trusted Setup問題の解決を目指しています。
Zcash問題点②マネーロンダリングや犯罪の温床になる?
仮想通貨の情報が匿名性を持つことは、顧客情報の保護につながると同時に取引の透明性を失うことでもあります。
将来的に、もし仮想通貨が普及したときに、Zcashを使えば、マネーロンダリングのようなことをする人が表れるのは容易に想像できます。
「最新ニュース」の項目でも説明しますが、実際に匿名性通貨が麻薬や銃などを取引するサイトで利用される事案もありました。
(現在、そのサイトは閉鎖されています。)
Zcash問題点③今後、規制をうける可能性があるってホント?
匿名性仮想通貨は重要度の高い取引を扱う際にとても有効に働きます。
後述しますが、JPモルガンがZcashの技術を採用したことからも、社会における需要があることが分かりますよね。
一方で上に述べたようなグレーな資金の取引で利用されるリスクから、将来的にZcashのような匿名性通貨には国家などが規制をかけてくる可能性が十分あることは忘れてはいけないと思います。
いずれにしても、「闇市場での導入」もしくは「有名企業による採用」が値動きに大きく関わってくるのは間違いないでしょう!
匿名性暗号通貨の比較|Zcashとdash,Monero,komodoの違いは何?
ここではDash、Monero、Zcash、Komodo、Bytecoin、Vergeを「技術・特徴」「承認時間」「非公開範囲」の項目に分けて比較しました。
通貨名をクリックすると詳細ページに飛べるようになっています。
いずれの通貨も取引に匿名性を持たせるかどうかは選択することができるようです。
通貨名 | 技術・特徴 | 承認時間 | 非公開範囲 |
Dash(DASH) | POW
決済向き マスターノード |
4秒 | 送受信アドレス |
Monero(XMR) | POW
ワンタイムリング署名 (Bytecoinのソースを元に開発) |
2分 | 送受信アドレス・IPアドレスと数量 |
Zcash(ZEC) | POW
ゼロ知識証明 |
2.5分 | 送受信アドレスと数量
取引の有無自体 |
Komodo(KMD) | dPOW
ゼロ知識証明 プラットフォームとしての機能 (Zcashがハードフォークしたもの) |
1分 | 送受信アドレスと数量
取引の有無自体 |
Bytecoin(BCN) | POW
リング署名 ワンタイムキー |
2分 | 送受信アドレスと数量 |
Verge(XVG) | POW
レイス・プロトコル TOR |
30秒 | 送受信アドレス・IPアドレスと数量 |
Zcashの仕組みや特徴を動画で理解しよう!
Zcashについて簡潔にまとめられている動画です。
英語なのですが、良かったらご覧になってくださいね。
Zcash|zceの現在の相場チャートと時価総額とは?
ここではZcashの相場チャートや現在の時価総額についてご紹介してまいります。
リアルタイムで見るZcashの現在のドルレートと価格推移
以下が今現在のZcashのドルレートと価格推移です。
ZECの現在の時価総額ランキングは何位?
現在のZECの時価総額は何位なのでしょうか?
ジーキャッシュは常に人気で時価総額で常に上位を占めています。
RANK欄の数字が今現在の順位です。
Zcashの最新ニュースから分かる将来性!今後の動向は?
ここでは、Zcashの最新ニュースや今後の動向をご説明してまいります。
Zcashの将来性について知りたい方、必見です!
上場直後のZEC大暴落はなぜ起こったの?
Zcash(ZEC)は上場後その価格が急騰し、そしてすぐに急落したことで有名です。
開発チームメンバーやその技術の魅力から、ローンチ前から大変期待されていたのですが、ZcashはICOを行わなかったために上場後に購入者が殺到し、その後の利確により価格が急落したのが原因だと考えられます。
JPモルガンがZcashのセキュリティ技術の採用を発表
2017年5月にアメリカ合衆国のメガバンクJPモルガンがZcashとの連携を発表しました。
もともとJPモルガンが開発していたQuorumというEthereumベースのブロックチェーンに、Zcashのゼロ知識証明の技術を導入し、セキュリティを強化する意向があるようです。
今後もこのように企業から、Zcashの技術を導入したい!という声が上がってくる可能性は高いのではないでしょうか。
ZcashのBithumb上場でZECが高騰!
2017年9月、取引所BithumbにZcashが上場するという情報が出て、ZECの価格が上昇しました。
その後、12月にかけ、仮想通貨市場全体で価格が高騰したために、ZECの値段も2倍以上になりましたが、現在は他のアルトコインと同様に下がっています。
Zcash初のネットワークアップデートZcash Overwinter
Zcashは2018年の秋、サップリングネットワークのアップグレードを行います。
そのためのプロトコル強化を目的として、2018年4月よりZcash初のネットワークアップグレード"Zcash Overwinter(オーバーウィンター)"を行うことが発表されました。
ブログ記事によると、バージョニングやリプレイプロテクション、トランザクションの透明化や取引の有効期限の改良などを行うとのことです。
ブロックチェーンのフォークなどではありません。
Zcashの最新のニュースはTwitterや公式ブログが早い!
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Zcashの購入方法は?オススメの取引所をご紹介
Zcashを扱う国内の取引所は今のところコインチェックのみとなっています。
ただ、コインチェックでの取り扱いも、今後はモネロやダッシュとともに打ち切られるとの情報もあります。
海外ですと、Zcashの取引高が高い取引所はHitBTC、Houbi、Bitfinexなどです。
ZECを買うなら、この中でも特に口座開設が簡単で取引方法も分かりやすいHitBTCが安心です!
海外の取引所での取引をご希望の場合、まずは国内での取引所の口座を開いて、そこから海外取引所に送金することで、ZECの売買が可能となります。
まだ国内の取引所の口座を開設していない方がいらっしゃいましたら、セキュリティが安心なビットフライヤーでの開設をオススメします。
仮想通貨Zcashの仕組みから買い方までのまとめ
Zcashはゼロ知識証明の技術によって、DashやMoneroをも凌ぐ秘匿性をもつ仮想通貨です。
送受信アドレス、取引量だけでなく、取引の有無も他者には分からない特徴を持っています。
取引所への上場や国家の規制、企業との連携のニュースによって価格の大きな変動が見込まれそうなので、今後も目が離せない銘柄です!
匿名性暗号通貨の中での特に有力なZcashを取引したい方には、日本の取引所で口座を作り、海外の取引所に送金してZECを購入する方法がおすすめです。